化学情報協会

結晶構造データベース・化合物辞典

機能紹介

MPDSのプラットフォーム

MPDSのプラットフォームは、PAULING FILE材料データベースのオンライン版です。すべてのデータは、ブラウザベースのグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)とアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)の2つの方法で表示できます。本ページでは、ブラウザベースのGUIについて説明します。APIによる使用方法については、APIのチュートリアルをご覧ください。

検索項目とモード

MPDSのプラットフォームでのデータ検索は、14の項目で可能です。すなわち、物理学または化学(材料クラス、物性、元素、化学式、空間群、結晶系、プロトタイプ、および原子環境)の8つ、ならびに、参考文献(著者、発行年、ジャーナル、場所、組織、およびDOI)の6つです。検索モードには、シンプル検索とアドバンスド検索の2つがあります。

シンプルモードでは、異なる検索用語を1つの入力フィールドにすべて入力することができます(図1参照)。ここでは、最も頻繁に使用される5つの項目、すなわち、材料クラス、物性、元素、化学式、および結晶系がサポートされています。

図1.検索のシンプル(1入力フィールド)モード。

図1.検索のシンプル(1入力フィールド)モード。

アドバンスドモードでは、各検索項目に対して独自の入力フィールドがあります。これを使用するには、中央の検索メニューボタン(☰)をクリックするか、検索結果ページの右側に表示される項目ボックスをクリックする必要があります。

材料クラスの検索

技術用語から物理的カテゴリ、化学名、元素数、周期表群、いくつかの同位体名などに至るまで、様々な材料クラスが収録されています。特定の領域にのみ適用できる多くの補助用語もあります。例えば、結晶構造(S-entries)に対しては、cell-only、disordered、non-disorderedが有効です。もう1つの例として、ab initio literatureという用語は、理論的な第一原理モデリングに関する論文から得られたデータを指しています。さらに、perovskite、baddeleyite、stishovite、yeelimiteなど、既知の鉱物名の大部分がサポートされています。5つの特別な(アリティ)クラスであるunary、binary、ternary、quaternary、およびquinaryは、これを入力することで、元素数を制限した検索が可能です。

リスト1.代表的な材料クラス。

リスト1.代表的な材料クラス。

最後に、MPDSは、特別なクラスであるisopolyhedral、dipolyhedral、およびtripolyhedralをサポートしており、これは、結晶構造中の異なる原子環境タイプの数、すなわち、それぞれ1、2、および3のみを意味しています。

物性の検索

検索可能なすべての物性は、MPDS内で独自に階層化されているため、系統的な検索が可能です。高次の性質の検索で、すべての下位の性質が結果に含まれることを前提としています。さらに、誘電率や圧力などのより一般的な用語も検索可能です。

階層内の物性の一部は、数値検索も可能です。そのためには、性質の正確な名前を、より小さいまたはより大きい記号および対象となる数値(SI単位)とともに使用する必要があります。例:等温バルク弾性率 > 300 GPa。

元素の検索

元素は、名前または記号(例えば、copperまたはCu)として入力することができます。スペース、コンマ、またはダッシュで区切って、検索時に任意に組み合わせることができます。デフォルトでは、要素の数が等しいかそれ以上で検索されます。例えば、Cd-O-Sの検索結果には、Cd、O、およびSだけでなく、Tl、H、N、Kなど他の元素も含まれる場合があります。

重要:元素の数を制限するためには、Cd-O-S ternaryなど、アリティ材料クラスのunary、binary、ternary、quaternary、またはquinaryを追加する必要があります。例えば、アルミニウムを検索すると、多くのアルミニウム化合物がヒットしますが、純粋なアルミニウムのデータは得られないという質問を数多く頂いています。この解決策は、unaryクラスを追加するだけです。

検索結果の画面

検索結果の画面では、相図(状態図)、結晶構造、物性値が同時に表示されます。エントリー番号を選択することで、各データの詳細を閲覧することができます。以下は、Al、Cu、Mgで検索した時の結果です。

相図(状態図)の表示画面

検索結果の画面で表示したい相図(状態図)を選択し、左側の「Visualize」ボタンをクリックすることで、相図を表示できます。左側のPDFのアイコンをクリックすることで、当該相図のデータシートを入手できます。データシートには、書誌データや各相の結晶データが記載されています。また、相図はPNG、BIBTEXなどのファイル形式でも入手可能です。

結晶構造の表示画面

検索結果の画面で表示したい結晶構造を選択し、左側の「Visualize」ボタンをクリックすることで、相図を表示できます。左側のPDFのアイコンをクリックすることで、詳細な結晶学データを閲覧できます。CIFファイル、BIBTEXなど他のファイル形式でも保存可能です。

参考文献の収録について

すべてのMPDSデータは査読済み論文から手動で抜粋されたものであるため、対応する著者名、出版年、ジャーナルの号、ページ、DOI、場所などで検索することができ、この情報は引用にも利用できます。一般的に、MPDSを引用することが望ましいですが、すべてのデータには、すでに独自の出版社の引用情報(DOIなど)があるため、必須ではありません。

MPDSデータは、エントリーの場合は「www.mpds.io/entry/S250002」、個別の相図(状態図)の場合は「www.mpds.io/phase_id/7810」、元の原著論文の場合は「www.mpds.io/article/54292」などの永続的なURLを介して、それ自体が参照可能であることに留意してください。出版社が作成したDOIがもはや有効でなくても、元の原著論文をMPDSで参照することができます。

さらに、何年も前に出版され、出版社によってデジタル化されることなく、入手するのが困難になった論文が数多くありますが、ASM Internationalでは、それらのデジタルコピーと抽出されたデータを保管しています。このため、MPDSにアクセスすれば、そのような入手が難しくなった論文であっても、原本を探し出すことができます。

お問い合わせ先

科学データ情報室

TEL 03-5978-3622
FAX 03-5978-3600

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