化学情報協会

結晶構造データベース・化合物辞典

インフォマティクスへの利用

近年、材料開発に機械学習の手法を取り入れた、マテリアルズ・インフォマティクス(MI)が注目されています。研究者の経験と直感に基づく実験の繰り返しによる従来の材料開発に代わり、MIでは、物性情報や結晶構造をはじめとする膨大な物質情報から計算機を通して、物理・化学法則を発見することで、研究にかかる時間とコストの削減を目指しています。

ICSDの活用例

  • 大規模計算に用いる物質情報として活用。
  • 機械学習の手法自体の開発や改良に活用。

ユーザーインタビュー

ICSDはマテリアルズ・インフォマティクス発展の礎

京都大学大学院 工学研究科 材料工学専攻 田中研究室

論文での報告事例

下記の論文の他にも、多数のMI研究の論文でICSDが利用されています。

Combination of recommender system and single-particle diagnosis for accelerated discovery of novel nitrides

Yukinori Koyama, Atsuto Seko, Isao Tanaka, Shiro Funahashi, and Naoto Hirosaki, J. Chem. Phys., 154, 224117 (2021).

化学組成記述子を用いたICSDの機械学習により、化学的に関連する組成の推奨システムを構築。

Discovery of superionic conductors by ensemble-scope descriptor

Seiji Kajita, Nobuko Ohba, Akitoshi Suzumura, Shin Tajima & Ryoji Asahi, NPG Asia Mater., 12, 31 (2020).

ICSD中の酸化物から機械学習により酸素イオン伝導体として報告されていない5つの化合物を発見したという報告。少数のトレーニングデータセットを使用しても推論能力を最大化するために、1 つの自作記述子と 2 つの汎用記述子を使用したアンサンブルベースの機械学習による仮想スクリーニングプロセスを開発。

CRYSPNet: Crystal structure predictions via neural networks

Haotong Liang, Valentin Stanev, A. Gilad Kusne, and Ichiro Takeuchi,  Phys. Rev. Materials, 4, 123802, (2020).

ICSDの100,000を超えるエントリでトレーニングと検証し、機械学習を利用して結晶構造を予測するツールを作成したという報告。

Recommender System of Successful Processing Conditions for New Compounds Based on a Parallel Experimental Data Set

Hiroyuki Hayashi, Katsuyuki Hayashi, Keita Kouzai, Atsuto Seko, and Isao Tanaka, Chem. Mater., 31 (24), 9984–9992 (2019).

並列して行う合成に基づいて、新しい化合物の適切な処理条件(5つの異なる温度で焼成された4つの合成方法(固相反応、重合錯体、環状エーテルゾル-ゲル、およびスプレー共沈))を推奨する機械学習方法を提案。

Germanene and stanene on two-dimensional substrates: Dirac cone and Z2 invariant

Zeyuan Ni, Emi Minamitani, Yasunobu Ando, and Satoshi Watanabe, Phys. Rev. B, 96, 075427 (2017)

ab initio密度汎関数理論と無機結晶構造データベースのデータマイニングの組み合わせにより、CdI2タイプの単分子層材料がゲルマネンまたはスタネンの適切な基板であることが判明したとの報告。

Multivariate Method-Assisted Ab Initio Study of Olivine-Type LiMXO4 (Main Group M2+–X5+ and M3+–X4+) Compositions as Potential Solid Electrolytes

Randy Jalem, Takahiro Aoyama, Masanobu Nakayama, Masayuki Nogami, Chem. Mater., 24 (7), 1357–1364 (2012).

リチウムイオン伝導性固体酸化物電解質材料の探索として、オリビン型酸化物LiMXO4の66種類の組合せから、一部を抜き取ってリチウムイオン伝導性を評価し、インフォマティクス手法を用いて他のイオン伝導性を予測に成功した報告。ICSDに収録されている既知オリビン型酸化物LiMXO4の複数個についても電池材料としての可能性を新たに報告。

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