特許調査部
特許の先行技術調査を請け負い、「知的財産立国」の実現に貢献
グローバル競争の中で資源の乏しい日本が生き残るには、知的財産を十分に活用していく必要があります。そのためには迅速な特許審査が不可欠との認識から、特許庁では先行技術調査の外部委託を進めています。当協会は、有機化合物に関する区分30*の先行技術調査を行う外注先として登録され、CAS STNext による化学構造検索を利用した調査を担当しています。
質の高い調査には、豊かな化学知識や有機合成の現場経験が求められるため、ここでは、企業などで経験を積んだ有機化学のベテランが多く活躍しています。これまで培ってきた知識、技術の集大成の場としてふさわしい職場です。
* 区分 30 は、39 に分けられた技術分野のひとつで、医薬、農薬、電子材料等の有機化合物特許
CAS STNext を使った構造検索で有機化合物の特許性を調査
特許出願の際には、申請者も自ら先行技術調査を行いますが、特許庁での審査段階においては、特許性(新規性、進歩性)の観点から先行技術の有無を厳しく調べる必要があります。この判断材料となる情報を調べて提供するのが、当協会の担当業務です。
調査員は、特許庁から依頼された特許出願の内容に特許性があるかどうかを細かく調べます。特に当協会が担当する案件については有機化合物の構造検索が必須なため、CAS STNext を駆使して調べあげていきます。その結果を報告書にまとめ、週1回から月1回程度、担当審査官に結果を報告し、必要にして十分な調査を目指します。
特許調査員に求められる 3 つのスキル
特許調査員には、1.有機化学に関する知識、2.特許に関する知識、3.検索技術の 3 つがバランスよく備わっていることが大切です。1.に関しては、論文の行間が読めるくらい豊かな知識や経験が求められますので、研究現場で経験を積んだ方であれば、その実力を大いに生かすことができます。2.と3.については、研修および調査業務を通じて十分身につけることができます。情報共有を図る報告会も頻繁に実施し、部全体でスキルアップを目指しています。
調査員として活動するには、(独) 工業所有権情報・研修館が実施する 2 か月間の調査業務実施者育成研修を受講し、特許法、特許分類、庁内検索システム、調査の進め方などを学んで、筆記試験と面接に合格する事が必須となります。当協会では、研修参加者全員が合格するよう、先輩調査員による2か月間のきめ細かい事前トレーニングを実施しています。
経験と勘が活かされる「クリエイティブ」な仕事
情報検索という作業は、実にクリエイティブな面を持っています。必要な情報を漏れなく探し当てていくには、どの様にアプローチしていけばよいか、そのプロセスは十人十色、それぞれの経験と勘に任されます。
研究経験のない分野の案件を担当することもありますが、そこで積極的に新しい知識を取り入れ、幅を広げていくことで、さらなる高みを目指せます。常に知的好奇心が刺激され、最先端の科学技術の発展に直接的に貢献できる、そんな仕事です。
特許審査業務の流れ
職場の声
- 「調査はまるでパズルを解くよう。作戦立てが面白く、思い通りに行ったときは格別です」
- 「様々な企業から、専門分野を極めた人材が集まっているので、常に興味深い情報交換ができる環境です」
- 「知識欲が満たされ、大きな達成感を味わえる充実した日々を送っています」
- 「化学に関する広い分野の技術に触れるので知識の幅が広がり、社会の動きなどの理解も深まります」
- 「仕事に慣れてくると自分のペースで仕事ができます。また、コアレスフレックスなので就業時間を自分の都合に合わせてシフトすることもでき、働きやすい職場です」
- 「大変風通しが良く、失敗も含め部署内であらゆる情報を共有しています。『仕事を楽しむ』ことが可能な環境です」